この業界に入って25年。シンプルな産業だけにほとんど進歩なく今に至っているのかというとそうじゃなくて、ちゃんといくつかのエポックメイキングな技術が導入されて今に至っています。
入社して翌年イギリスに滞在している頃に始まった”雌雄別給餌”には、「これを考えた人はすごい!」と感動したものです。
一回り大きいオスの首が入らない隙間を給餌器に付けて、メス専用のエサとする。代わりにオスだけが届く高いところにオス専用のエサを用意する。おかげで、ダイエットしたオスは精力が付いて受精率が高くなるのです。
工場で言うと、トリダスという国産の自動脱骨機がすごくて今や世界中で普及していますし、マレルという会社はひとつの機械で躍進して、世界に名だたる食鳥機械メーカーを買収して傘下に収めるに至っています。
そして最近のトレンドとして、生まれた雛をすぐに農場に持って行って餌付けするのではなく、孵卵場に置いて餌付けして数日してから農場に持っていく、という画期的なしくみが提案されています。ハッチブルードと言われています。
これが成功すれば、農場で飼育する期間が短くなるわけですから、回転が早くなって、鶏舎を建設しなくても年間出荷羽数は増えるのです。
しかし、進歩はいいけど、供給過多の懸念! つまり相場下落に結びつく可能性大ですから喜べないわけですが、消費者のメリットに成りますし、前向きに取り組むしか無いです。とはいえ業界人としては、新しい技術はそれ自体ワクワクしますね。
(写真:本文と関係ない中国でのスナップ)