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 選んだラジオ番組をまるごとMP3で録音してクルマで聞くようにしています。「山下達郎のサンデーソングブック」もそのひとつなのですが、最近のスポンサーのCMはどうも番組のイメージに合わないなと思うこの頃。しかも制作費が乏しいのか同じものをずっと流し続けてて、リスナーにとってこれは逆効果じゃないかと心配したくなるのは私だけでしょうか。

 しかし、しつこく聞いて耳に入っていたS電工さんのCMが現実に当社内にも起こっているかもと思えることがありました。ちなみに、そのS電工さんのCMはこうです。

 「では、志望動機をどうぞ。」

 「はい。業界のトップランナーとして走り続ける御社で、私の能力が最大限に生かせるクリエイティブプランが、もうできています。」

 「どんなことだね?」

 「はい。まずはターゲットを徹底的に調査。グローバルな視線にフューチャー。エコロジーなスタンスでシステマチックなプランをカスタマイズし、KPIを決定。 ワークスタイルをドラスティックにエボリューションすることで市場の動向にスピーディーに対応。ROIをチェックしながらエモーショナルにファクトをメイクし、ソーシャルメディアを活用したソリューションで問題を解決。売上をビッグにしてみせます。」

 「で、具体的に言うと?」

 「ですから‥」

 ナレーション「具体化出来なければ何も始まらない。科学の力で夢を具体化。S電工です。」

 耳にタコが出来るほど聞いたCMですが、このたび社内で「各部門の次年度方針を抽象的な表現を削って具体的な言葉で用意せよ」と指示したところ、このCMのような齟齬が発生してしまって、ある部門は何度も修正要求することになりました。

 上司の頭のなかでは素晴らしいことを考えていても、それを具体的な言葉で表現できなければ伝わりませんし、実現しません。あるいは上司の頭のなかでまだ浅くしか考えられてないから具体的な言葉になっていないのかもしれません。

 また、「昨年でも一昨年でもない、ましてやいつも取り組んでいることでなく、まさに今年取り組もうとしていることを表現しなさい」あるいは「部門の人間が暗記できるくらいにしなさい」と言っているのですが、これもなかなか理解していただけないような。

 「1年の計は元旦にあり」じゃないですが、1年のスタートは方針にあり。すり合わせは妥協無くやりたいと思っております。