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 ロンドン・ビジネススクール准教授のフリーク・ヴァーミューレンさんが書いて、2013年に日本語に翻訳された「ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実」を読んでみました。

 主に上場企業の経営者についての過去の研究例を引用しながら、常識とされていた経営者の世界の不都合な真実を暴くといった内容です。

 私もどちらかというと冷めた目で見るタイプだからか、違和感なく読めました。

 経営者は基本普通の人間であって、何が違うかといえば「予言の自己実現」に深くはまっている点だそうです。

 このことで数々の不祥事が発生したし、派手にマスコミなどに取り上げられる経営者だからといって次の経営者に素晴らしいバトンタッチができるとも限らないと指摘しています。

 インテルのアンディ・グローブさんがそうだったように、方向性を曖昧なものにしておき、自然にどちらかの方向が良いか見えてきてから方向性を明言するというのが賢い、とも書かれていました。すごく分かります。

 また「経営環境の変化のスピードが昔より早くなっている」と世界中の経営者が異口同音に言っているのは納得できないとも言っています。

 これも分かるな〜。実は私もこの言葉は吐いたことがありません。言い訳みたいだし、昔のことをあまり覚えてないので。

 さて、個人的にはどうしても経営者の視点を、稲盛和夫塾長的な見方と、そうでないものに二分して見がちですが、この本はどうやら稲盛和夫塾長側のように感じました。

 長期計画は立てても意味がない。給料格差をつけないほうが業績は上がる。時間を掛けて企業文化を作ることが最大の競争力。‥などなど。

 それにしても、一昨日紹介した「ダークサイド・スキル」もそうですが、内容とタイトルが結構乖離していることが多くなりましたね。

 社員にインセンティブを付けて読書感想文を奨励しているわけですが、タイトルだけで選んでないか心配になってきました。ま、こんなふうに意外と価値あるものに当たることもあるでしょうけど。