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 皆さまには遠路お出で頂き、弊社久慈工場増設竣工式に参列頂きましたこと、誠にありがとうございました。また、工事関係者の皆様には、スケジュール通りに建設を進めていただき、立派な工場ができ、明日より稼働の運びとなりましたことに感謝申し上げます。

 当事業は、国の東日本大震災による沿岸被災地域の雇用を推進するための国庫補助であります「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助事業」を受けて建設されました。

 思い起こせば6年半前の東日本大震災。その日以降約1ヶ月、当社では飼育農場への飼料供給が滞り、売上の1ヶ月分となる360万羽の鶏が犠牲となりました。

 しかし、平均体重が減少していく中、ギリギリまで買い取っていただくことで、荷受さん、流通の皆さま、消費者の皆様に支えられ、想定より早く復活でき、また従前どおり受け入れて頂いたこと。いまでも思い起こすたびに感謝の念で一杯になります。ありがとうございます。

 また、速やかに国庫事業として「被災家畜円滑化処理促進事業」が制定され、埋却・償却の費用を支援いただきました。それに岩手県からは食鳥検査料の1年間減免措置等をいただいております。本当にありがとうございました。

 鶏肉市況については翌年反動で輸入品が溢れ、相場の谷ができましたが、その後概ね順調に推移しました。そこにFIT法(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が成立しましたことから、それまでの採算性の懸念が払拭され、長年検討を重ねておりましたバイオマス発電所の建設を決断。

 昨年11月から本稼働となり、今では4850kwの電力の全てを、お肉でも大変お世話になっておりますパルシステム様に供給させていただいております。

 さて、今般の補助事業による久慈工場増設については、久慈市役所さんからご提案いただきました。

当社では想定外のことでしたが、地元の雇用に貢献できるその補助事業の仕組に共感して、今年で築39年となる久慈工場のリニューアルの前倒しを決断させていただきました。

 今回の増設で当工場は、国内では2工場目の2ライン工場となり、12月には業界トップクラスとなる1日あたり加工羽数92000羽となります。

 工場の既存部分は39年の間に3度の増設を行い、その結果2階建ての複雑な構造になっており、非効率的な面がありましたが、このたび一新して最新の機械を導入し、2ラインながらシンプルな分かりやすい流れの工場にできたかなと思っております。

 ただ、機械より人がやったほうが高品質で効率的という仕事も依然としてあり、引き続き地元から沢山の人を採用していけるものと信じております。

 地元の皆さまには、当工場の増設を大変歓迎いただき、補助事業のボーダーラインである新規雇用86名は1年ほどで達成し、社内目標の130名にはあと一息という状況になりました。

 しかし、人口が減少し、それ以上に労働人口が減少しているのは、日本全国地方の大きな課題となっていて、久慈市や周辺市町村も例外ではありません。せっかくの最新鋭の工場も、人が十分いなければ動かないのであります。

 ですから、地場資本の、雇用受け入れの一つの軸となる会社として、地元に労働人口が十分残っていけるよう、魅力的な職場づくりは欠かせないと思っております。各方面からのご指導のほどよろしくお願いします。

 最後になりますが、当社は健助会長が人を雇用して採卵用鶏を始めて、今年で丸57年となります。

 最近、健助会長は、中学校を卒業して直ぐに鶏を飼い始めたから、実は67年だと言いますので、100周年は33年後に開催してくれと私から遺言を残そうかと思っております。33年後、私には微妙な年ですが‥。

 今宵は、1991年の30周年‥実は31年目でしたが、2006年の健助会長の旭日双光章授章以来のお肉のお客様が漏れなく集まってのパーティーともなります。長年のご愛顧ありがとうございます。新工場になりましても、引き続きよろしくおねがいします。

 また、工事に関係者した皆さま、協力頂いた地主さん始め久慈市の各方面の皆さま。岩手県庁、久慈市役所、各方面の議員の皆さま。さらに金融面でお世話になっている農林中金様。本当に感謝の一言でございます。

 本日はごゆっくりご歓談頂けますよう願って、施主の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

(10月3日の挨拶に向けて用意した原稿)