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 日本経済新聞の名物連載「私の履歴書」の今月は、日産自動車社長のカルロス・ゴーン氏です。窮地にあった日産をその辣腕ぶりで救った人物として有名ですよね。

 当時の日産の体たらくぶりは商品であるクルマに顕著に現れていましたので、車好きな私としては、「こんなひどい状態にある組織を救うなんて簡単なことでしょうよ!しかしそれを日本人がやれなくて、こんな初対面で会っただけで諦めが付くような顔立ちの方が出てくるなんて、漫画みたいだな」と思ったものでした。

 その後、ゴーンさんは、「日産リバイバルプラン」を掲げ、不退転の数字のコミットメントを明示して、見事それを成し遂げV字回復を果たしているわけです。

 当時のことをご本人の視点で書かれているのですが、赤字でも巨額の負債でも役員会で誰も厳しいことを言い出さない状態にあったとのことで、組織の中でそういう生ぬるい人が生ぬるい人を選んできたという事実に大企業の怖さを感じます。

 私の経営の師匠、小山昇さんは「社長の仕事は、決めることです」と言いますが、そういう時にトップが「今は赤字だが、これから黒字にする。何が何でも!」とそれだけを思うか思わないかに加えて、社員をはじめ関係する方々に「協力してくれ!」と頭を下げるかどうかだけが求められていただけなのに、とも思います。

 そういう意味での役者ぶりがゴーンさんは優れていたということと、私は解釈しております。そのシーンでの求める役者像にピッタリ!

 うまく行ってない組織はいわば病気に罹っているわけですが、日産や日本航空のような大企業は基礎体力があるわけで、ぴったり当てはまる処方箋であれば、もしかすると中小企業よりV字回復は難しくないのかもしれないなと思ったりします。稲盛塾長も大企業の緩さを時々指摘していますし。

 さて、ゴーンさんが日産に来たのは2000年だったようです。私が十文字チキンカンパニーの社長になったのが2002年で、その2年後には赤字で真っ青になったのですが、ゴーンさんと自分を重ねて、「やれば出来るはず」の思いがあって何とか今に至っていると思います。

 だからか社長になってから日産のクルマをよく買いました。でも最近は縁がないですね。いいデザインで、シャシー性能が良くなって、エンジンが気持ちいい日産車待ってます。