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 神門善久著「日本農業への正しい絶望法」を読みました。マクロ的な視点から現代日本の農政と農業を分析・解説する事に努めながらも、そちこちに個人的かつ感情的な記述が見られ、何とも人間臭い不思議な本でした。

 そちこちの主張をバッサバッサと斬り捨てるところは痛快でとても共感を覚えるのですが、こういう書き方する人ってやっぱり信用ならないかも‥と思えてしまうのが惜しい気がしました。いや、私のブログもその類いかも(笑)。

 一番参考になったのは、著者が農業名人と言われるような方々と交流が有り、その視点で見ると徐々に農業者の感性が鈍くなってきて、どんどんマニュアル化が進んで寂しい状態に陥っているという視点があることです。

 玉ねぎを例に出していましたが、名人が作ると細胞壁がしっかりしているので、包丁を入れるときに涙が出ないそうです。もちろん、味もしっかりしているし、栄養価も高い。そういう人がいたら海外に進出して日本農業のノウハウで活躍できるのに‥という視点でした。

 なるほどなー。翻って当社の養鶏農家さんたちはどうだろう。 確かに名人と呼ばれるような独自の育て方で成績を出す人はいます。鶏種の供給元のマニュアルより低い温度で育て、丈夫に、そして後半大きく仕上げるのです。鶏の細胞壁が違って美味しい不味いというのがあるのか分かりませんが。

 名人には生まれ持った感性や素養が必要です。私自身は全くそういうタイプではないわけですが、ちょっと癖があっても、そういう人を探し出し、農場の仕事をして極めてもらうことが出来たら嬉しいですね。