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 北は北海道から南は鹿児島まで、260名の皆様、遠路東京までおいでいただきありがとうございます。寒い冬が過ぎ、無事日本国内での高病原性鳥インフルエンザの発生の無いまま春を迎えることが出来ました。

 昨年見舞われた宮崎あるいはその周辺の各社さんは、特にその翌年ということで入念に対策を練って臨まれたと思います。「発生がなくて良かったですね」とお互い勞いたくなるような春の陽気になってきましたが、日本全国、今しばらく用心して梅雨をむかえたいものです。

 さて、一連の高病原性鳥インフルエンザの発生は2004年からで、当時79年ぶりと言われました。それから幾度となくその脅威にさらされてきました。地球上に人間の数がどんどん増えて、肉食が増えていけば、飼育する鶏も増える。増えると高病原性鳥インフルエンザが発生しやすくなる。

 これは業界の天敵のような病気だな、果たしてこの業界に未来はあるのか。恒常的に病気に見舞われる牛、豚、鶏に代わる畜産動物が出現して世界を席巻するのではないか、と思ったこともありましたが、まあ、そのあたりは私の妄想かもしれません。

 いずれ、これまで幾度と国内発生したことで、我々業界人もその対策のレベルを上げてきたと思います。もちろんその中には空港で靴底を消毒するなど外部の対策もありますが、究極的には自農場の、「当たり前のことを当たり前に実行する」の一点ではないでしょうか。

 防鳥ネットの網目、長靴の交換、踏み込み消毒槽に漬けるといったことが、必ずしも100%できないので頭を痛めていた会社さんもあったかと思います。

 しかし、これほど国内での発生が続きますと、業界全体の防疫意識が高まってきて、そんなレベルの農場はほとんど存在しないようになってきているのではないでしょうか。

 また、会社全体での防疫意識、あるいは仕事に取り組む姿勢が高まって、組織としての強固さが高まるという副次的な効果があると思います。

 東日本大震災についても同様で、被害にあった当社もこのことで良い教訓が得られ、組織が強固になったと思っております。

 さて、ここで私の持論のひとつを述べさせていただきたいと思います。結論を先に言うと、鶏を飼育する農場長には国家試験合格を必須とすることです。

 以前は、農家の水準を上げるために厳しい試験を課したらどうかという着目点でそう思っておりましたが、今は、これだけハイレベルなことを実際要求され実践しているんだから、国家試験合格の勲章を与えたいと思っています。

 ちなみにシンガポールでは、日本のQBハウスが人気なんだそうです。なぜかというと日本には理容の国家試験があって、シンガポールにはない。だからシンガポール資本の理髪店は技術水準がバラバラで、日本資本だと一定水準だから安心だというそうです。

 ところで、量販店の店頭には、農家さんたちの顔が印刷されて消費者に買ってくださいと訴えております。残念ながら社長の顔では全然売れません。

 農家さんたちの社会的な地位を更に向上させるよう努めることで、当業界もより潤うのではないかと思います。その一つが国家試験、と思うのです。これは広く畜産業界全体に言えることでしょうが。

 運転免許では無いですが、最新の情報を得るためにも5年毎の更新義務くらいでやったらどうかと思います。

 最後になりますが、今日明日の充実した日程を組んでいただいた事務局とプレゼンする関係者に感謝を申し上げ冒頭の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。

(写真:2日目のプログラム開始前)