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 昨夜、映画「キングコーン」を渋谷イメージフォーラムで見てきました。

 鶏用飼料のかなりの%を占めるとうもろこしですし、最近はエタノールを作る用途にも増えているということで、ぜひ見ておきたかった映画でしたので、福島に来たついでに上京し見ました。

 ノンフィクションのドキュメンタリー映画としてやっぱり得るものが多かったのですが、感想といいますか教訓としては‥

 まず、政治の威力ってすごいということ。1970年当時の農務長官の方針で食糧増産に積極的に取り組む環境を農家への補助金で整え、今では大規模農家しか残っていないというほどのアメリカの現状。

 その理念は、エンゲル係数を小さくしてほかにお金を使えるようにすることが豊かさだという、まさしくごもっともな考え。松下幸之助の水道哲学に近いですね。いかにもアメリカらしいわけですが、日本の現在の農業の浮いた位置づけを考えると、やっぱり政治の差だなあ、と思わざるを得ませんでした。

 もちろんこの映画では、コーンが巻き起こした炭酸飲料や脂肪の比率の高い肉で肥満が増加している負の面も描かれているのですが、アメリカは以前に自国民には身体によいからと牛肉から鶏肉へのシフトを進めた経緯があるので、徐々に修正はしてくるだろうと思います。

 それよりなにより、人間の「美味いと思えるものをたらふく食べたい」という本能をほとんどすべての人に与えることができている(=安くしている)という政治は、貧しい人に視点を置いた立派な政治だと思えました。しかも雇用を自国内にキープできているわけですし。

 アメリカが農家に補助金を与えることで、安いコーンが世界に出回り、畜産関係者が生計を立て、世界のほとんどの人が肉が食べられると思うと、感謝の気持ちがまず先に来るのは業界関係者だからかな‥。