日本の食は安すぎる

 農産物流通コンサルタント、やまけんこと山本謙治さんには、専門であるトレーサビリティに関する著書や、ブログの延長の「出張食い倒れ日記」のシリーズの著書などがありますが、今回の「日本の「食」は安すぎる」は、真っ正面から世の中に問いかける著作です。

 読んで、いや、もう何て言うか、頷くことばかりで‥。

 「安いってことは、どこかにしわ寄せがいってるってことだよ。で、どこにそのしわ寄せが行くかと言えば、食品の場合、だいたい人の身体さ」と紹介された食品業界にいる著者の友人の一言には参りましたね。

 さて、イタリアでは週末では平気で店を閉めてしまうことを手がかりに、著者は踏み込んで、「日本はもう少し、消費者向けサービスのレベルを意図的に、段階的に引き下げても良いのではないだろうか」と指摘しています。

 そういえば、私が20年ほど前にイギリスにいたときは、日曜日に買い物が出来なかった‥。土曜日夜に立体駐車場にクルマを入れて、酒を飲んでホテルに泊まったら、月曜朝までクルマを出せなかったこともあった(笑)。

 日本も高齢化社会になったことだし、便利を追求するより、リラックスタイムを設けて人間らしさを取り戻したらよいと思いますね。

 そんなときに、日本人は「安い」「お得」の呪縛から逃れられるようになる気がします。