中国出張の帰りに、内田樹(たつる)さんの「日本辺境論 (新潮新書)」を読みました。
いやー、強烈に面白かったですね。ちょうど中国と日本の位置づけを考えるにもちょうど良かった。
日本が中国を見下している面は私にもあったと思うけど、もう今回の出張で、中国が中心で日本は辺境だという定位置にいままさに戻ろうとしていることを実感したし、それを裏付ける背景がこの本で学べました。
少し引用しますね。
世界のどんな国民よりもふらふらきょろきょろして、最新流行の世界標準に雪崩を打って飛びついて、弊履(へいり)を棄(す)つるがごとく伝統や古人の知恵を捨て、いっときも同一的であろうとしないというほとんど病的な落ち着きのなさのうちに私たちは日本人としてのナショナル・アイデンティティを見出したのです。
私たちは歴史を貫いて先行世代から受け継ぎ、こうぞ幾世代に手渡すものが何かということについてほとんど何も語りません。代わりに何を語るかというと、他国との比較を語るのです。
自分自身が正しい判断を下すことよりも、「正しい判断を下すはずの人」を探り当て、その「身近」にあることのほうを優先するということです。
日本人は後発者の立場から効率よく先行の成功例を模倣するときには卓越した能力を発揮するけれども、先行者の立場から他国を領導することが問題になると思考停止に陥る。
このあたりはよく言われることかもしれませんが、ほかにも数限りなくマーカーで線を引いてしまいました。
著者も言っていますが、自国の国民を語る本がこれほど出版されている国はほかにないそうです。かなりアイデンティティの希薄な国民かもしれませんね。私もそういう意味で典型かもしれません。